タクシーの規制緩和で誰が得したか?

最近タクシーに乗る機会があり運転手さんからよく聞く言葉に、「暇ですわ~、水揚げが少なく給与は上がらずこれではやっていけまへん。まともに働いて月収が約15万円位あるかないかです」

確かに全産業の平均一人当たり平均年収は約330万円で、平均より200万円以上少ない。

そもそも何故そうなったかと言うと、五年前の規制緩和で、タクシー業界は新規参入や増車が容易になり、客は増えずに車だけが増え、加えて値下げ競争が起き売り上げが減ったという事だが、そんなこと初めから判りきった事でそこまでして何故、規制緩和をやる必要があったのか疑問に思う。

当時、規制緩和を推進した政府の諮問機関で、規制改革関連審議会の会長がオリックスの宮内義彦。

オリックスは、法人・個人の金融商品いわゆる自動車のリース他、不動産事業、生命保険事業、を展開している企業で、宮内義彦会長は、業界の利益しか考えていない「市場原理主義者」で一時は非難を浴びた事がある。

タクシーの増車をする事により、車のリースが増え、保険収入も増える、これほどオリックスにおいては旨い話がない。

しかも公的な機関で政府のお墨付きで事業拡大をやってきた。

宮内義彦の言葉に、「市場経済による競争社会は強いものが弱いものを取り込む『弱肉強食』社会ではなく、優れたものは消費者に支持され、劣ったものは消費者に支持されず消えていくという、当たり前の社会、『優勝劣敗』の社会である」とも述べている。

『弱肉強食』社会ではないと格好良く述べているが、これこそ正しく弱肉強食で、この場合の「強」は政府の諮問機関の規制改革関連審議会長の立場を利用して、規制緩和により自社の事業拡大を図るという、つまり官民の癒着で談合して税金を貪るよりも、遙かに悪質極まりないやり方である。

その結果誰が得して誰が得したか?いや、今でも損し続けている人達がいる。

運転手家族だけでも数百万人の方が泣いている。こんな不道理な事ってありますか?