【はじめに】
たかが、”アユ釣り”かと言われる方がおられますが、アユつり程,我々が営む日常の 仕事と非常によく似ているのではないかと考えます。!
釣り人の多くは人より多く又大きい アユを釣るため競います。
一匹でも多く又大きいアユを釣るためには当然ながら、当日の天候・川の状況・つり道具・その他を考え綿密な計画を立てます。
人より多く,又人より先に釣る為には,それ等だけではなく、技術・経験等が必要となりますが, なんといっても大事な事は、闘争心つまり仕事では、挑戦心・判断力・意欲・意識・自立心が
必要である事は言うまでもありません。
アユ釣りは趣味であるから出来る、仕事とは違うと言う 考え方はありますが、それもその通りです。
しかし自分の手で ”魚をつる”、 ”物を作る・売る” その結果(釣果)として満足を得る(達成)、には変わりがないのではないかと感じます。
そういった事に全く適しているのが、”アユ釣り” であるのではないかと感じます。
敵を知り己を知れば万事何事も危うからずや・・・格言にもあるように、まず「鮎」に関する 知識や習性行動を、 先ず知ることから始まります。
鮎の一般的な知識
名前の由来
アユの語源は 『あゆる』 で、秋に川を下る(落ちる)意味から名付けられたといわれる。
また、アは小さい、ユは白い意味で、《小さな白い魚》で”アユ”となったとも言われている。
漢字の『鮎』は、神功皇后が占いに用いた魚が”アユ”であったためといわれている。
又、奈良朝以後、アユの漁獲高によって、秋にとれる農作物の作柄を占ったところから 来たという説もあります。
アユ釣りの歴史は、元禄年間(1688~1703年)鮎の引っ掛け(素掛け)が行われたと、文献に 記載されていて、友釣りについてもいろんな説で語られていますが、日本で考案され普及したのが 明治から大正と言われており、又この頃の主流は引っ掛けつまり、コロガシ(素掛け釣り) であったとも語られている。
アユの成長と行動
アユの遡上期は、海と川、湖と川との水温差がなくなる3~5月頃で、アユは群れをなして 川をさかのぼる。
ひとつの川でも2~3回 時期をずらして遡上する。体調は5~9㎝ほどで 初期に上るアユは大きく、上流をめざす。
ダムなどの無い川では、アマゴの生息する渓流 までも達する。気象の変化(増水・濁水)がない限り1日中ほとんど休まず、アカ(石に付着した 苔を食んでいる。
一定の場所に定着したアユは、やがて自分のナワバリを持つ。ナワバリは、 だいたい1㎡でナワバリに侵入するアユを撃退する。
ただし、すべてのアユがナワバリを もつのではなくトロ場やチャラ瀬 『群れアユ』 と呼ばれて、一定の範囲を移動しながら、仲良く 生活するアユもいる。
秋が近づくと、アユは急速に成熟して魚体にいくぶん婚姻色が現れる。
そして産卵期が近づくとアユは増水と共に下流の産卵場に向かう。 産卵を終えたアユは しだいに弱まり、1年の短い生涯を閉じる。
卵がふ化するまでの日数は、水温の低い川では20日前後、水温の高い川では 10日前後程度である。
ふ化した稚魚は、流れに乗って海・湖に下る。そして動物性 プランクトンを食べ、春を待つ。
川も魚も一刻一刻変化し続けている又「川もアユも生きている」ということです。
季節、天候、時間帯、水量、水質、水温、石(数・形状・苔)等々の状況によっても ポイントは変化していきます。
アユ釣りの漁法
アユはふつう、植物性の藻類を常食としているが、動物性のエサを食べる時期がある。
川でふ化した稚アユはすぐに湖・海に下り、湖・海では動物性プランクトンを食べて大きくなる。
3~5月頃川へ遡上する前後、アカ(苔)も食むが流れてくる昆虫や、水面に落ちる虫を追う。
その食性を利用したのが、毛針を使った≪ドブ釣り≫(ドボつりとも言う)、マキエサ (例、カタクチイワシの稚魚)からサシエサ(例、アナゴかハモの稚魚又は地方により異なるが、 アジ・イカの切り身及びその他)で釣る、≪エサ釣り≫がある。
以上の釣り方は、動物性のエサを好む時期(稚魚)の漁法であって、成魚になればアユは 生まれた川を遡上仕始め、エサも動物性から植物性の水垢(苔)を好むようになって行く。
石の廻りに食んでいるアユを潜りながら或いは、箱メガネ(水中が見られる道具)を使いながら 引っ掛ける漁法に、≪チョン掛け釣り≫がある。この釣り方は古く昔からの釣り方として、 道具も非常に簡単で手軽で行える事からよく行われてきて、アユ釣りの元素ともいわれている。
そのチョン掛け釣りに継ぐ漁法で伝統的な釣り方として、≪素掛け釣り≫がある。
コロガシ・引っ掛けとも言われ、 ”素掛け”の名の通り、エサを付けず釣り上げる釣り方で、約15年前までは盛んに行われて きたが、釣り人が増えるに従いそのマナーの悪さと又、川の環境を害するという理由で 最近はほとんどの川で素掛け釣りを規制化している。
規制の目的は環境問題にも一部の理由としてあげられるが、それよりも大きな問題は、 放流用の稚アユを購入して商業目的としている河川(漁業組合)は、素掛け釣りでは、 採算ベースに乗らない事が最大の理由ではないかと感じ取れる。
それに変わり登場してきたのが、≪友釣り≫漁法である。
鮎は石を中心に約1㎡の縄張りを作り、そこへ他の鮎が侵入すると、猛然と体当たり又は噛み ついてでも侵入者を追い出そうとします。
そういった本能を利用して釣るのが”友釣り”である。
1.ドブ釣り・・・動物性を好む時期(4~5月頃)、河口付近で毛針で釣る方法。
2.エサ釣り ・・・川へ遡上仕始める時期(4~5月頃)、エサにより釣る方法。
3.友釣り ・・・オトリアユを付け、習性を利用して鮎を寄せ引っ掛ける方法。
4.チョン掛け釣り・・・ 川に潜り又は、箱メガネでアユを見ながら引っ掛ける方法。
5.素掛け釣り・・・エサを付けず、石を獲き(コロガシ)ながら引っ掛ける方法。
その他流し釣り等、地方で呼び名が違いますが、竿で釣る漁法としては以上の通りです。
詳細は【アユ釣りの漁法】で述べていますが、大別しますと1~3項は待ちの釣りでエサ或いは オトリアユ等で魚を寄せて釣る方法、つまり魚まかせ≪相手まかせ≫の漁法である。
一方私が一貫してやってきた5項の漁法(素掛けつり)は、他の漁法と違い見えない川の中で 何処に魚がいるかを見分け、釣りに行くと言う≪攻め≫の漁法である。
言い方を変えると、放流された川で比較的アユがいそうな瀬又はチャラ瀬等で、オトリアユを 泳がせていれば、悪くても、まぐれで釣れる”友釣り漁法”と違い、素掛け釣りは、エサ等を
何もつけずにアユを釣り上げると言うもので、人達が思うほど簡単でないと言う事を強調して おきたい。簡単でない漁法であるからこそ魅力を感じるのかもしれない。
鮎の見つけ方
広い川でアユが何処にいるかの判断材料として、天候・水温・川の形状(汚れ・石・食め跡) から見て、少々経験した釣り人達はまず、そういった所の見分け方をしますが、ここでは
もう少し踏み込んで考えて見たいと思う。
人間は朝眠りから覚め、朝食をとり仕事・学校等に出かけ昼には又食事をして、夜は寝るの 繰り返しで成長を続けるのが一般的です。
一方アユはどうしているかと言えば実はアユの成魚も、人間の生活とよく似ているところが あって、夜寝る場所は流れの緩やかな石の底でじっとしていて、つまり寝室は瀬おちの トロ場で動きを止め、外敵から身をまもり夜明けを待ちます。夜が明ける夏場であれば AM4:00~6:00)頃から1日の行動が始まり、まさしく人間と同じく、体の動きが鈍く、暫くは 深場で仲間と一緒に戯れ、争いを避け朝食をしている行動が観察されます。
日が昇り川の瀬が銀色に光る頃(AM:7:00~9:00)動きが活発になり、深場から瀬に差すように 流れの急な荒瀬に入って来るようになる。
そこでよく見なければならないのは、アユの通り道 つまり、エサ(苔)の豊富な石がどの辺にあるかを見るのに食め跡で判断します。
川の真ん中の急流よりも川岸(淵側)が魚道になっている事が多い。但し更に動きが活発に なってくると流れが急な瀬に入ってくる事がある。
人間も昼食をとり、昼寝もしたい又ゆっくりしたい時間がありますね、アユも同じです。
特に日が差す天気の良い日には何でもない浅瀬で遊んでいるアユを見かけます。
この様にアユの1日の行動を知ることにより例えば、朝の釣り始めは何処へ行けばよいか又、この時間には何処にいかねばならないかが解ります。
大事な事は、効率的にアユを 釣るためには簡単な事で先ずは、アユの居るところへ行くという事が基本である。
つまり、天候・川の状態・時間等々を考え、アユの行動を先取りする事が大事である。
素掛け漁法
素掛け釣りの用具は、竿(7,2m~8.1m)川幅の大きさ等で選択し、道糸は1.5号~2.0号、 ハリス1.0号~1.5号、針についても釣るアユで決めますが8号~11号又数量も6~8個が
一般的です。素掛けの仕掛けは、友つりから比較してごくシンプルな仕掛けとなっています。
次に素掛け漁法の釣り方は、竿+道糸+オモリ+素針(エサ等何も付けない)で アユを釣るのですが、素掛けの経験の無い方がよく言う言葉に、素掛け釣りは簡単で 転がせば良いと言います。そういった言葉から”コロガシ”という名がついたのかも知れないが、 因みに京都では素掛けと言います。
仕掛け
竿は、硬調の出来るだけ軽量が良いが、市販の竿は穂先がやらかい為加工して硬い穂先に 替える方がよい。穂先がやらかい為加工して硬い穂先に替える方がよい。
オモリについては、川の瀬で変更する必要がある。又釣り方(横引きか縦引き)によっても変ります。
因みに私は瀬によって、10号~15号を使用しています。
針は市販のものもありますが、ハリス直付けよりも蝶針のバラ買いで川に、似合ったすげ方をすればよい。
仕掛けのとめ方、穂先と仕掛け糸は下記の通り、ぶしょう付けが一般的です。
用具類
川で何があるか予想できない事がある。特に多いのは、激しい瀬で釣る為、根掛かりにより竿の穂先を破損する事がある。
そのような場合に対処する準備として、穂先又は竿のスペアを 装備しておく必要があります。
素掛け釣り用具は、友釣りと違い特に、オトリ缶及び腰に付ける曳き舟等の用具は、必要なく 通常の魚釣り用具でまにあいます。
主な用具は下記の通りです。
ベスト
昔はアユ釣り用のハッピ(法被と良く似た物)が標準装備であったが、 近年多くの釣り具店では多種の防水ベストが売られ愛用されています。
シャツは日焼け防止のためにも、長袖で濡れても乾きやすものを奨めます。
ウエータ
ウエーダーには、タビとタイツが分かれているセパレーツタイプと、胴付き ウエーダーの2タイプがある。
セパレーツタイプは水中で倒れても水を含むことがないので安心だ。胴付き ウエーダーは、上から水が侵入しない限り身体は濡れない。
水の冷たい初期には適している。
受けダモ・ベルト
釣れたアユを取り込む、網+布の水貯め受けがセットになった物で、 友釣り用のタモと違い京都では、京タモとして古くから愛用されている。
ベルトはタモを腰に差すため絶対必要品である。
アユ缶
釣れたアユを保管する金属製+網の容器。
友釣りではオトリ鮎を川へ運搬または、移動するためブク付タンクが必要 となってきますが、素掛け釣りではガンガンと言い定置式の容器です。
クーラ
アユ釣りは、何かと荷物が多い事から出来るだけ最小限のサイズを 選択すればよいが、真夏の車内温度が約60℃以上となる為、保冷能力を 重視して装備する必要があります。
以上、素掛け釣りに必要な最小限の用具を列記しましたが、その他の小道具 例えば、ハサミ等の用具も必要で、詳細については釣り具店で確認下さい。
釣り場の見方
渕(フチ)
深くて流れの緩やかな所を総称して、”渕”と呼んでいるが、 釣りの場合は渦を巻いている滝壺でも、”渕”と呼ぶ。
全般には”渕”は流れの突き当たるカーブにあり、 大水が出れば川底が掘り起こされる。
トロ場
トロ場は極端な水深の変化がなく、流れは穏やかで、 面は鏡のようである。水のきれいな川なら、川床の石が 1つひとつ見えるぐらいの水深である。
ここにいるアユは、ほとんどが遊びアユで人影を見せたり、 水面に竿影を映すといつの間にか姿を隠してしまう。
瀬のいろいろ
瀬には、次のようなものがあり、それぞれの狙い方がある。
<荒瀬>
水量が多く、勾配が急で、川幅が狭くて底石は粗い。 水面は白波が立っていて、流れが速い所を言う。
<急瀬>
流れが速いわりには、底石が小さい。
川床がほとんどまる見えで、アユには住みにくい場所だが、 元気なアユが狙える瀬である。
<早瀬>
水深はそれほど深くないが、底石が粗く大小さまざまな 石が重なり合って水面には白波が立っていて流れが速い。
良型のアユが狙える。
<平瀬>
水深はそれほど深くないが、底石が粗く大小さまざまな 石が重なり合って水面には白波が立っていて流れが速い。
良型のアユが狙える。
<チャラ瀬>
川床はほとんどの場合小石底で、川床には 大きい変化はない。川幅は広く、水深は浅い。
アユ釣りの実践
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取り込み方